「ホットギミック ガールミーツボーイ」感想!!!”恋”の書き順は知っているけど、意味を知らなかったあの頃の自分へ。

「ホットギミック ガールミーツボーイ」

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何かを求めて、何かを知りたくて奔走する17歳の高校生達のセカイとセカイが出会ってしまえば、それを定義していた全ての言葉は意味を成さなくなる。

”初恋”という感情を真正面から描き切る、恋愛大傑作!!

 

 

 

少女漫画

正直、こういう少女漫画の実写映画って物凄く苦手ジャンルなんです。理由は、まず見てると恥ずかしくなってしまう点。周囲の人を一切配慮してない会話や動作に、「イヤイヤイヤ……w」とツッコんでしまう。もう1つはそれに連なった理由ですが、面白い所、盛り上がりどころがわからない。恋が成就したらゴール?。好きな人に違う人が!?みたいな意外な展開が起こったら盛り上がり所?。そういう、最低限少女漫画の実写映画を楽しむための文法をまず知らないので、観ていて「?」が続いてしまう。

 

 

 

妄想男子

この映画は、3人と初恋してしまう女の子の話。1人目はクールなSの亮輝。2人目はモデルでキラキラした梓。3人目はずっと頼ってきた優しいお兄ちゃんの凌。この設定だけで、むせかえりそうなぐらいの少女漫画パワーを感じますが、その3人による恋のアタックはもう大変!

1人は駅のホームでキスさせるし電車内で壁ドン+ラッキースケベするし、一方で薬盛ったり優しい甘い声で裸を要求するし、さらに血がつながってないとはいえ兄なのにガンガン恋愛対象として妹を見てるし…。と、上げればキリがないぐらいにこの映画に登場する男の子は、完全に妄想男子。前半は、その3人が繰り広げる、我慢する気のない「キス我慢選手権」を見せられているような感じ。

 

 

現実男子

しかし、前半では妄想通りのキラッキラ男子だった3人は、どんどん現実男子になっていく。亮輝は偉そうぶってるだけだし、梓は犯罪臭がするようなことを平気でやってくるし、兄は自分が見てないところではイケイケな所でバイトしてるしタバコは吸ってるし。初のキラキラした”初恋”が進んでいくほどに、妄想だったものがどんどん現実になっていく。

 

 

”初恋”

この映画は、妄想と現実のギャップが曖昧に、でも確実に描かれていく。

”恋”をしたら何をするのか、”恋”をしたら何を言うのか。そんなものは、少女漫画を読んできた女の子にとって常識的なこと。告白も、キスも、セックスも、”恋”をしたら階段のようにステップアップしていくものだ。

でも、実際に”恋”をしてみると、そんな常識はどんどん崩れていってわからなくなっていく。ずっと好きだから付き合うんだと思ってたけど、好きな時もあれば嫌いな時もあるし、ずっとずっと好きかなんてわからない。キスは強要されるのはイヤだけど自分から踏み出すには勇気がいる、けどしたい!。セックスは流れでそういう方向に行くんだと思ってたけど、恥ずかしいし躊躇するし、でもでもしてみたいし…。階段のように段階を踏めると思っていた”恋”は、実際には自分で地に足を付けて、手もちゃんと落ちないように握って登らないといけない坂のように立ちはだかる。でも、それを進んでいく勇気と引力こそが”恋”だし、その引力が働いたなら、坂を上るのはわかんないけどそれがワクワクする。

それまで知っていた”恋”の定義をぶっ壊してしまうものこそが、”初恋”。この映画は、妄想男子との甘々恋愛映画と思わせて、それをぶっ壊すことで”初恋”を描いてる。この映画の構造自体が”初恋”になっているという、とんでもない初恋映画。

 

 

セカイ

そんな本作のラスト、初と結ばれるのは亮輝。彼はSぶって好きな子に嫌がらせしちゃう可愛い奴でしたが、そんな彼の自信家なところと、初の自分がバカだと感じる劣等感がマッチしたという感じ。

ラストで初が語るのは、”恋”を知った今だから言える言葉。恋はずっとずっと好きなんだと思ってたけど、そんなんじゃなかった。けど、”恋”をしてる、今好きだというこの瞬間をこそ、それを感じられる自分を好きでいたい。初のセカイと亮輝のセカイが交じり合って、彼らにしか彩れない街が現れるラストの夜景。

 

 

言いたいことも

いやでも、言いたいこともあるにある。この映画で物語上の盛り上げどころになってる、親の要素。これ、要らなかったんじゃないかなぁ…。この映画では一般の人、周りの人は一切排除されてる。電車の中で壁ドンしても、マンションを走り回っても。なのに、その物語をグラつかせる要因が親の関係っていうのは、正直ちょっとがっかりしたり。ここまで徹底して排除してるなら、物語を推し進める要素もしっかり彼らだけで構築してほしかった。

あと、これは不満とかじゃ全然ないけど、彼らの住んでるマンションがオシャレ過ぎる。けど、らせん階段が普通過ぎる。どんなマンションなんだ!!

 

 

最後に

むせ返るほどの甘酸っぱい恋愛映画と思っていたら、まさかのぶっ壊し初恋映画でした。むせ返ればむせ返るほど、あなたはこの映画にハマっていくはず!是非、映画館で観てください!!