「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」感想!!正義を振りかざす国に振り回された、数奇な男達…

「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」(2D字幕)
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ヌゥァァァン……のサウンドでお馴染み(?)、超硬派メキシコ麻薬カルテルものまさかの続編!!!!




”ボーダーライン”の面白さ
前作を本当に大好きなんです。善悪なんて振りかざす余裕のない、地獄の世界で一人の人間の正義感が崩れていく…。乾いていて、混沌とした戦闘を彩るじりじりとしたサウンド。もうね、最高ですよね…
ベニチオデルトロ、ジョシュブローリンのコンビの渋すぎる演技に負けない、どころかそれにピッタリな、じわ~としたストーリー。もっと、もっと彼らの”活動”を観たいと思わせる一方で、もう観たくないと恐怖さえ残すラスト。こんな、ハッキリ言えないアクション映画、なかなか無いですよ!!





続編の面白さ
そんな独特の面白さがあった前作通り、今作もこの面白さは変わってません!いや、ケイトという素人キャラが居なくなったことでむしろヒートアップした感もあるぐらい。米国側も本気のプロだし、麻薬カルテル側も本気。前作はベニチオデルトロたちがかなり先導していたのに対して、今回は彼らの本気でも死が見え隠れしてしまうほど、麻薬カルテルも本気なんです。だから、緊張感が前作よりアップしている。だから、面白い。





凄惨なテロシーン
本作で何が衝撃的だったかって、冒頭のテロシーン。スーパーでどんどん人が死んでいく中、1人の子供の目の前に何かのスイッチを持った大柄の男が。それに気づいた母親は、彼を説得しながら店外に出ようとすると…。
こんな感じで、”ハリウッド映画なら死なないでしょ”という立ち位置の存在を冒頭で殺してしまう。だからもう、誰が死んでもおかしくないんだと意識してしまう。店の外からカメラをゆっくり横に動かすことで事件の全貌が見えてくるあの感じもよかったなぁ…本気で怖かった‥





正義を振りかざす国、アメリカ合衆国
そんなテロを受けて、その実行犯が麻薬カルテルと断定した米国はメキシコ麻薬カルテルの潰し合いを演出する。メキシコ警察や手下のギャングたちが死んでいき、カルテル同士が戦い合うことでさらに血が流れた後に、実はこのテロは米国人によるものだった事が明らかになる。。。そして、米国は自分たちの倫理にそぐわない作戦を知る女の子の抹殺まで命じる・・・そう、この映画、アメリカという国が勘違いして、それを正当化するためにメキシコや自国の兵士を巻き込む話なんです。こんな、アメリカ批評的な映画がまさかアメリカから出るなんて。一方的な正義を振りかざす構造の危うさ、そして、それに翻弄される人々の凄惨さ。
さらに本作は、前作が麻薬だったのに対して移民が登場する。移民を如何にアメリカに入国させるか。そして、それに手を染めているのはアメリカの若い少年たち。アメリカ人を守るために移民を受け付けない規制をしたせいで、規制により旨みと危険が増した仕事を何も知らないアメリカ人の子供が請け負う。この、悪循環としかいえない構造こそ、現代のアメリカが孕む問題なんだ、と。自分たちの正義を振りかざすことが、自分達の子供を苦しめているというのを突き付けてくる。
これを観て、アメリカ人はどう思うんだろう…。





最強のコンビ、デルトロ&ジョシュブローリン
何といってもこの2人ですよ。もうね、渋すぎる。カッコよすぎる。最強すぎる。2人が、一緒に戦う連邦警察&メキシコ警察のシーンはやばい。このコンビ、本当に無駄にしゃべらないのに彼らの信頼関係ははっきり見えてるんです。こういうコンビが観れた時、コンビものってやっぱり良いな、と思うんですよね。
予告で使われている、デルトロのあの撃ち方。あれとか、もうカッコよすぎて口ポカーンでしたよ…w
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本作の問題点
でも正直、前作のほうが楽しめたのも事実。その理由は色々ありますが、一点に集約できると思うんです。この映画、前作と違って、彼らの活動を眺めるしかない、素人的な存在がいないんですよね。だから、彼らのプロらしい行動、言葉のない行動を追いかけるのが大変なんです。言うならば、”やるべきこと”はわかるけど”やるべきわけ”はわからない。「え?なんでまた国境に行くの!?」とか、「これ、どこに向かってるの?」と、理解力に乏しい私にとっては、頭が本当にこんがらがった。前作は、どんなにややこしいことが起こっても事前にケイトに説明されていたからわかりやすかったのに、本作のヒロイン枠であるイザベラは、死を覚悟したからというか、肝が据わっているからなのか、というか戦闘に参加してないからか、特に今していることに疑問を抱かないんですよね。だから、説明が少なすぎる。



最後に
色々語りましたが、映画館の大画面&大音響で観るべき、最高に緊張感のある映画なので是非映画館で観てください!!次回作にも期待!!!