「LBJ ケネディの意思を継いだ男」感想!!凡人の、凡人による、凡人のための映画!!

LBJ ケネディの意思を継いだ男」
(2D字幕)
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カリスマ抜群のケネディに負けた男
JFKケネディ大統領と聞いて、パっと顔が浮かぶ人はかなり多いと思います。すぐに”公民権運動”という単語が出てくる人も。
でも、LBJと聞いて、パっと名前が出て来る人はかなり少ないんじゃないでしょうか。本作は、そんな男を描いて映画なんです。
LBJ(リンドン・B・ジョンソン)は、JFKの後任の大統領。高いカリスマと理想論で国民を湧かしたケネディに選挙で負け、副大統領というポストについた彼は、地道な努力によって政治家の間ではある程度の信頼を得ていたが、国民からの信頼は薄かった。そんなLBJが、如何にしてカリスマ抜群だった男を継いだのか。
この映画は、突如天才が就いていたポストに当てられた凡人による、俺達のための成り上がりの物語だ!!!





最初、LBJは現代の目から見ると大統領の器じゃなく見えてしまうんですよね。なんたって彼は、反JFKであり公民権運動にも反対する立場だったんですから。しかし、そんな彼がいかにして大統領の器になっていくのか。JFKの政策、そして世論や周囲の声を聞くことで、彼の中で白人至上主義が崩れていく。最初から完璧な男ではなく、口は悪いし、汚い手は使うし、白人至上主義をうたっていた男が、運や努力を最大限に使い、大統領に成り上がり、最後には南部の政治家に向かって「差別主義だ!!」と言い放つほどになる。まさに、凡人の凡人による凡人のための映画なんですよこれは!!
愛する人に告白するときも、大統領選に出馬するときも、そしてJFKを引き継ぐことも、まずは一歩踏み出さないと始らない。この映画を観た後、何か一歩踏み出したくなるはず…。





もちろんですが、この映画の魅力はリンドン・B・ジョンソンの人柄。といっても、上記したように真人間じゃないんです。夜、疲れ切った彼がアイスを片手に寝室に行くと奥さんに「食べちゃダメでしょ!」と怒られたり、奥さんに泣きついたり。そんな”人間味”が面白い。それを、いかにもガサツそうなウディハレルソンが演じるからまた良い。ウディハレルソンがスーツを着て、政治の話をしているのが最初は物凄く違和感を感じましたw

そんな彼が一番怖かったこと。それは、人から嫌われること。
大統領選に出馬するか決めかねてるときも、支持者に嫌われたら?得票数が低かったら?とウジウジ悩む。JFKの政策について話し合っているときも、北部、南部どちらの政治家にも嫌われないように画策したりする。しかし、人に嫌われることを気にして内気になって行うことは、成功しないんです。奥さんにかつて告白したときも、嫌われてもいいから伝えないと!という気持ちがあった。奥さんからのアドバイスで、やっと彼は一皮むけて、公民権の確立という、南部政治家から絶対に嫌われる政策を掲げることを決める。その結果、黒人への差別は無くなり、黒人大統領なんてものが誕生するきっかけを作り出し、そして翌年、彼はアメリカ合衆国における大統領選挙で歴代、最も高い得票率で大統領継続が決まった。人から嫌われることを恐れていた男が、人から嫌われても信念を貫くことを学び、そしてアメリカ合衆国大統領で最も愛された男になった…。
人から嫌われるぐらいならって自分の意見を曲げたり、どんなに屈折してても自分の考えを改めないような、そんな自分から一歩進みたくなりました…。




ちなみに
この映画、上映時間が98分なんです。LBJにとって、この98分は重要な数字。そう、LBJは、JFK暗殺後わずか98分で大統領に就任したのです。つまりこの映画は、リンドン・B・ジョンソンLBJになるまでの”98分”を描いた映画だったんです!!





政治の話とかはちょっと難しい映画ですが、JFKに”公民権運動”、そしてアメリカ大統領選の仕組みなんかをちょこっと知っておくだけでしっかり楽しめる映画だと思います!
正直、伝記映画としては偏った映画だとは思いますが、ここまで人間味あふれる大統領を観れるとは思いませんでしたし、大満足でした!上映館は少ないですが、是非観てみて下さい!!