「キングダム」感想!!王座奪還、漫画実写化。2つの王道を貫く邦画大作!!

「キングダム」

é¢é£ç»å

 

最近は良作が多い実写映画の中でも、この映画は正当に”漫画の実写化”に挑戦し成功している映画だった!!!

血沸き肉躍る、王座奪還アクション!!

 

 

 

本日のお品書き

 

 

 

 

 

 

まさに王道

初めに、私は原作を全く知りません。原作未読野郎の戯言程度に聞いていただけると幸いです。

この映画、まさに王道。王座奪還という、何度も何度も物語として語られてきたものを、正面突破で貫いている。また、漫画からの実写化という意味でも、この映画は漫画らしい良さで勝負するという王道に挑戦している。

まず、王座奪還ものと聞くと皆さんは何を連想するでしょうか。近年だと「キングアーサー」や「ブラックパンサー」、そしてインドの大傑作「バーフバリ」なんかもまさに王座奪還もの。もっと言えば、「スターウォーズ」なんかもこの系譜上にあると言えると思います。何が言いたいかって、王座奪還ものは世界中で語りつくされていて、今では色んな工夫や味付けをされているジャンルだと思うんです。そんな中で本作はこの王座奪還ものとして、超王道を進んでいる。変なスパイスや付け合わせなんかせずに、”王座奪還”というジャンルの味そのものだけで勝負している。親類の裏切りにより王座を退き、様々な新しい仲間と共に王座を奪還する。この勇気ある決断によって、本作は物凄く見やすい映画になっているんですよね。起承転結がはっきりしているし、何よりテンポが良い。ポンポン次の話に進んでくれるから、最初から最後まで熱が冷めずに見ることが出来る。

 

 

 

 

輝くキャスト陣

そしてこの映画のもう1つの王道が、漫画の実写化としての王道。漫画、特に日本の漫画の特徴って、キャラクターの魅力にあると思うんです。魅力的なキャラクターを、上手く配置して話を転がすことで、どんどん面白味を増していく。つまり、キャラクターの魅力こそ、日本漫画の魅力の1つ、それも大きな要素だと思う。しかしその魅力は、実写映画という企画になるとかなり難しいんですよね。絵だからこそカッコよく見えるキャラクターの見た目や言動、演出なんかをそのまま実写化するわけにはいかない。けど、変更し過ぎると魅力がどんどん失われるし、何より実写映画という意味がなくなってしまう。

そんな中で、本作はキャスト陣が本当に光っていました。どのキャラも、もっと見たい、もっと活躍してほしいと思わせてくれる。山崎賢人演じる信はまさに主人公だし、吉沢亮演じる嬴政と漂はパっと見でどちらを演じているのかがしっかりわかり、さらに嬴政についてはクールな魅力たっぷり。橋本環奈演じる河了貂や長澤まさみ演じる楊端和は実写なのに漫画的魅力に溢れていた。けど、この映画で最も魅力的なのは敵役(?)の面々。

まず「RE:BORN」でお馴染み坂口拓演じる左慈坂口拓さんから漂う只者ではない感じと、彼独特のユラユラアクションがベストマッチ。彼が出てくる場面は、明らかに他の場面よりも温度が高い!

次に、本郷奏多演じる成蟜。いやぁ、本郷奏多さんは憎たらしい役が合うのなんの。ニヤっとした口元と、悪イケメンだけどひ弱そうな顔つきが最高。良い意味で、純粋に悪いキャラになっていたおかげで、何も気にせず主人公たちを応援できた!

最後に、大沢たかお演じる王騎。彼は敵ではありませんでしたが、味方か敵かわからないどっちつかずな立ち位置。さらにラストを全部持っていくという超重要なキャラクターを、それこそキャラクターの魅力一発で成し遂げてしまう。見た目とか言動とかではなく、雰囲気がカッコイイという凄さ。

ãã­ã³ã°ãã  æ ç»ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

 

 

合戦

そんな魅力的なキャラクターをひきだしたこともあり、本作はラストの合戦まで失速することなく突っ走る。王座奪還ものの何が見せ場って、この合戦シーンですよ。この映画でも、敵は8万、味方は3千や、王座につけば中華統一をする!みたいに合戦に向けて着々と盛り上げてくれる。

……しかし、この合戦シーンが物凄く残念だった…。8万人、3千人という軍勢を見せておきながら、まさかの50人で押し切るという展開や、二手に分かれて進む展開など、どんどん仲間の数が減るから”合戦”を描く上で重要である、数と数のぶつかり合いの要素がどんどん減衰してしまう。最後には、人数の規模としては水戸黄門ぐらいの数になっちゃって、あまりに迫力がない。アクションは頑張っているし、そこで見せる仲間同士の掛け合いも面白いんだけど、如何せんテンションが上がりきらない。人数が少ないことやロケ地の影響もあるのか、戦闘中に俯瞰などで全景を見せてくれないのも、誰がどこで戦っているのかを示すのに失敗していると思う。ここを疎かにしてしまうと、王座奪還ものの王道を進んだことが明らかに仇となってしまっている。

もう1つ不満なのは、キメ絵のシーンの演出を悉く外してしまっている事。例えば、長澤まさみ演じる楊端和が山の民と王軍との連合軍を結成することを宣言するシーン。ここはまさに見せ場だし、長澤まさみはかなり良い演技をしている。セリフも気が利いてる。でも、そのセリフを普通に王軍側の言語で話しているんですよね…。山の民全員に向けて宣言するなら、山の民語で話すべきだと思うんです。もっと短いセリフにして、山の民語で叫んでくれれば、もっと見せ場になったはず。ラストバトルでも、河了貂の戦闘服の伏線が回収されて鎧が露わになった後なのに全員で横並び!!というシーンで河了貂の戦闘服が綺麗に治っていたり、王座奪還を成し遂げた後なのに王に跪くとかそういうんじゃなくて反乱軍が未だに抵抗しようとしたりと、キメ絵のシーンで勿体ないことをしてしまっている。細かいと言われればそうなんだけど、キメ絵って、こういう細かい要素がガチっと合わさるから気持ちいいと思うんです…。

 

 

 

最後に

本作は、邦画だから出来る漫画実写化像を提示することに成功している一方で、邦画ならではの、まだ力が足りてない部分も露呈してしまったように感じました。しかし、まだまだ続編もやるらしいので、その時には本作の良さを最大限に引き出し、欠点を上手く修正してくれると信じられる作品でした!

そして、物凄く原作が読みたくなる!!それだけでも、実写映画としては成功なのかもしれません。気になる方は、是非映画館へ!!