9月鑑賞映画の感想!「mid90s」「行き止まりの世界に生まれて」「ドラえもん新恐竜」「ミッドウェイ」「喜劇 愛妻物語」「TENET テネット」「映像研には手を出すな!」

お久しぶりです。

今回より、本ブログの形式を少し変えたいと思います。1ヶ月に1つ記事をあげて、その月みた映画は随時その記事に追加していきます。

例えば今回の「9月に鑑賞した映画」なら、9月の最初から鑑賞した映画の感想を記事として投稿し、9月鑑賞2本目以降の作品の感想は、その記事に後から追加して行く、と言うことです。本記事の投稿が9月21日なので、22日から月末までに映画を見れば、その感想もこの記事に追加されます。未鑑賞の映画の感想は読みたくないと思いますので、この記事を読んでくださっている皆さまには、目次より読みたい映画をクリックして頂きたいと考えております。

追加するごとにTwitterで呟くので、それを見ていただけると幸いです。

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「mid90s ミッドナインティーズ」映画『mid90s ミッドナインティーズ』公式サイト

 ジョナヒルの初監督作ということで、コメディでもやるのかと思ったらまさかの痛烈青春映画で驚き、彼のセンス抜群な90年代オマージュ、カメラセンスに脱帽してしまいました。

 私はスケボーに乗っていたわけでも、ヤンキーの友達もいなかったんですよ。それでも私にとってこの映画は、忘れていたあの頃を蘇らせてくれる作品になっている。反抗期だったあの頃、親が鬱陶しくて、友達が絶対で、世界が狭く感じていたあの頃。世の中が下向きになっていた90年代が、誰もが経験した少年少女時代と重なり合う。

 そんな下向きな過去を描きながら、本作がやってのけたのは過去を慈しむことだと思うんです。悪友だと決めつけて抑圧してしまった母親の”気づき”が、自分たちが生きてきた少年時代を気づかせてくれる。その”気づき”は、抑圧ではなく慈しむことこそ少年に対して大切なんだと理解させてくれる。大人になってしまった私たちが、子供時代を愛することが出来るようになる作品でした。

 

 

 

 

「行き止まりの世界に生まれて」映画「行き止まりの世界に生まれて」オフィシャルサイト

 なんとまたもやスケボー映画。家庭環境が似てるけど異なる3人のスケボー仲間たちが、自分たちの生い立ちや思いを激白していくドキュメンタリー。監督、制作、撮影を担当したビン・リューはこの3人のうちの1人で、この映画は3人が父の日なのに父親のところではなく3人集まっていた時に、ふとそれぞれの父親の話になったところから着想を得た作品なんです。新しい父親を受け入れられない、受け入れてもらえない者、憎かった父親が亡くなってからその真意に気づいてしまった者、父親が母親を兼任したことで両親という存在を知らない者。各々に家族というものに問題を抱えているんです。

 そんな中3人のうち1人、ザックに子供が出来る。ついに父親になる。きっと3人は、”あんな父親になんてなるもんか”と思っていたに違いないんです。しかし現実は、カッとなって妻を殴ってしまったり、いつも口論になってしまう。ザックが父親になる過程に、キアーとビンが見てきた父親との思い出が重なっていく。

 友人同士で家庭のことを話すのって、結構勇気が必要だと思うんです。一歩間違えれば触れてはいけないところに触れてしまうかもしれないし、それこそ”踏み入った質問”になってしまうかもしれない。しかしこの映画は、そこにグイグイ突っ込んでいくんです。家庭内に家族を見出せなかった3人が、外に作った疑似家族に内の家族について激白していく。それはそれぞれにとって、劇薬にもなってしまうような棘を孕んだものなんですが、しかし内の家族をも愛おしくなるような特効薬にもなりうる。家族の温かさ、友人の心強さを感じられる大傑作でした。ドキュメンタリーですがとっても見やすい作品なので、ぜひ映画館で見ていただきたい作品です。

 

 

 

 

「映画ドラえもん のび太の新恐竜」映画ドラえもん のび太の新恐竜」公開記念 恐竜・知っトクSP – Discovery Channel Japan | ディスカバリーチャンネル

 私と同世代の人はどうしても「ドラえもん のび太の恐竜2006」を想起してしまう作品。本作の目的は、50周年となったドラえもんの原点である「ドラえもん のび太の恐竜(1980)」を現代にアップデートすることなんです。旧ドラえもん映画、特にF先生が関わっていた18作目までの作品は、博識でSF気質なF先生らしくその時の最先端の学術を物語に組み込み、そこから問題提起をする作品が多い。

 本作はまさしく、そのF先生らしさを組み合わせることで「のび太の恐竜」をアップデートしているんです。首長竜は胎生だと明らかになったことから主役となる恐竜を首長竜ではなく陸生の恐竜に変更したり、恐竜が鳥類へ進化したという新説から物語のラストが構成されていたりと、現代学術を組み合わせて子供達へ「のび太の恐竜」を見せることに成功している作品だと感じました。しかし一方で、タイムパトロール含め、時空を旅する作品としてとんでもない問題を残してしまったようにも感じるんですよね。そこに人間が関わっていたなら、僕らが生きてきた歴史はタイムパトロールのび太達に操作されたものなのでは?という疑問がどうしても沸き立ってしまう。ラスト以外でも、ドラえもんが基本的に自由に道具を使える(イナゴは……w)ことから物語としての面白さに欠いているんです。何かしらでドラえもんに縛りを与えないと、なんでもできちゃうひみつ道具をどうしても考えてしまうんです。オチから逆算して作ったのはわかるんですが、そこまでの過程ももっと練って欲しかったと感じてしまいました。

 

 

 

 

「ミッドウェイ」

トップメニュー|MOVIX清水

 なんと2016年の「インデペンデンスデイ リサージェンス」以来4年ぶりのローランドエメリッヒ最新作。太平洋戦争の命運を分けたとも言われる”ミッドウェイ海戦”を描く本作は、ハリウッド俳優はもちろん日本人俳優にもかなり力を入れていて、エメリッヒ曰く日米両方に敬意を捧げているとのこと。確かに日本人俳優は超豪華だし、予告ではかなり日米を中立に描いていそうな印象でした。しかしエメリッヒは、そんなに甘くなかったのです。

 まず日本側のドラマは圧倒的に描き不足なんですよね。山本、山口、南雲というミッドウェイの主要人物を揃えておきながら彼ら3人の関係性やその結果に至る経緯をすっ飛ばしているので、どうしても希薄に見えてしまう。一方でアメリカ側のドラマはかなりの尺をとって描かれるんですが、こっちも魅力的な登場人物が全然出てこないんですよね。いっぱい撃ち落とせる人、決死の覚悟で頑張れる人、裏方で支える人と職業でしか彼らを描かないので生きた人間のように見えてこないんです。やはりエメリッヒは、ドラマ部分が弱く感じてしまうんです。

 ただそんなことは、エメリッヒ映画というだけでみんなわかっていたことなんです。肝心の戦闘シーンは、今時珍しいぐらい全力でCGを使いまくり、コテコテに仕上がっています。好き嫌いは別れると思いますが私はこのこってり感はかなり好みで、特に高高度からの急降下爆撃のシーンは、まるで雨の日に上空を見上げた時の雨粒のように降り注ぐ(?)無数の対空砲火を主観ショットで描き上げており、このシーンだけで爆上がりでした。このシーンだけでも、ぜひ映画館で観るべきと言えるかもしれません。

 

 

 

 

「喜劇 愛妻物語」

水川あさみのはちきれそうな赤パンツ/喜劇 愛妻物語(日) - 映画この一本 - 芸能コラム : 日刊スポーツ

 妻とセックスすることしか考えていないダメ夫の話。話題と評価の高さで楽しみだった反面、まだ結婚していない身としては合わないかも…と不安だった本作ですが、結論から言うとドンピシャにハマった作品でした。ダメダメで生きてきた私は、どこか結婚に高いハードルを持っていたんですよね。それまで異なる生活をしてきた両者が、一つ屋根の下で共に暮らすことに不安を覚えていたと言うか。ですがこの映画は、そんな結婚へのざっくりした不安を乱暴に拭い去ってくれる。ダメ夫だって良いじゃない。恐妻だって良いじゃない。ずっとイライラして喧嘩ばかりでも、夫婦は夫婦。

 結婚って、相手と生活を共にすることだからどうしても相手の嫌な部分が強調されて見えてくると思うんです。本作では水川あさみのケツがその象徴的役割をしていて、奥さんの無防備なケツを眺めるいやらしい目線だったり、不恰好なデカパンだったり、さらにはおならだったり。ケツを眺める瞬間こそ、結婚の真理なのかもしれない。格好いいことじゃないけど、結婚ってこんなばかばかしいことを共有する関係なんだと思うんです。

 じゃあ本作は、ダメ夫と恐妻の家族関係がどのように変化していくのか。この映画、なーんにも解決しないんですよ。夫の仕事も増えてないし、奥さんが心変わりしたわけでもない。ラスト、恐妻が「このバカ、バカなんだもん」と大泣きして、そこに娘が加わって、ダメ夫が泣こうとすると「お前は泣くな!」と言われてどうしていいかわからず笑ってしまう。泣きながら笑い、笑いながら泣いてしまう。このシーンは理屈で説明しきれない、グチャグチャでど直球な感情をぶつけられる名シーンなんですよね。そもそもこの家族に問題なんてなかったし、解決なんていらないんです。笑って泣いて、ずっと感情をぶつけ合う2人の関係はまさに”夫婦”であり”家族”なんです。キャスト2人がまさにピッタリで、それだけでも見る価値のある映画でした。

 

 

 

 

「TENET テネット」

Why you should watch 'Tenet' in the cinema, even if it's not Christopher  Nolan's best film - NewsABC.net

 世界中が大注目していたクリストファーノーラン最新作。そして公開後は、この映画は難解だと話題になっております。 そもそもノーラン作品は、難解なんでしょうか。ノーラン映画は、難しい用語や伏線を欠いた展開によってあえて”少し足りない”映画になっていると思うんです。それがいき過ぎたのが「インターステラー」や「インセプション」。一方でノーランにはもう1つの作家性があって、それは「メメント」や「ダンケルク」で顕著なんですが、映画として新しい手法を編み出すアイデア一発の作品作りをするんです。前作にあたる「ダンケルク」は、異なる時間軸を同じ長さとして映画的に演出した作品でしたが、そのアイデア一発が先行して物語的なノーランらしさがほとんど無い作品になっており、賛否は別れました。私は「ダンケルク」はノーラン映画でもベスト級に好きな映画で、逆に「インターステラー」は苦手な部類なんです。

 それでは「TENET テネット」はどうだったのか。時間を逆行すると言う、とんでもないSF要素をもつ本作はもちろん「インセプション」のような理論に理論を重ねる理論武装的映画づくりをしている一方で、「ダンケルク」よりさらに斬新な”時間を異なる進み方をする両者を同一画面に収める”と言うアイデアを組み合わせている。本作は、ノーランの理論武装的な設定作りと斬新な映画的アイデアという二大巨頭だが交わることがなかった作家性が、遂に交わり合った作品なんです。

 本作の魅力は、何と言ってもアクション映画として面白い。順行と逆行が同時に存在することで特異的なアクションが誕生しているんですよね。そこが特に面白いのは、やはりラストの戦闘シーンですよ。順行組と逆行組にチームを分け、順行組はスタートからゴールへ、逆行組はゴールからスタートを目指すと言う一連のアクションは、素直に面白い。これこそノーランが作りたかったアイデアであり、それ以外の様々な要素はもはやそれを彩る要素でしか無いとすら言えると思います。物語やキャラクター性さえあっさりと終わらせ、ノーランお得意のSF超理論をも今回は”見せたいアイデア”を見せるためだけに作られているんです。エントロピー反粒子と言った難しい用語を使いまくったり、見たことない武器兵器を登場させまくったりするのは本作を難しくしたいのではなくて、はっきり言ってしまえば”見せたいアイデア”をリアルに見せるための裏付けとして使っている。

 なので個人的には、本作を”難解”と片付けてしまうのは勿体ないと思うんです。難解だ、と匙を投げられてしまうとノーランが”そこじゃないよ!こっち見てよ!”と叫んでいるのを見過ごしてしまうことになりかねない。もっと言えば時間系SFなんて粗を探せばモリモリ出てくる設定なので、ノーラン的にはあんまりいじって欲しくない部分をゴリゴリいじってしまっているんです。そうすると化けの皮が剥がれ始め、最後には「化学的にそんなことはありえない」と言う、そりゃそうだろうという答えにしか行き着かなくなってしまう。設定についての考察することも魅力の1つなのかもしれませんが、そこをほじくり出すと本作の魅力はどんどん薄れて言ってしまうのかな、と私は思います。

 

 

 

「映像研には手を出すな!」

ドラマイズム】映像研には手を出すな!-【MBS】毎日放送

 原作未読、アニメやドラマ版も未見、 さらには乃木坂にさえ詳しくないという無知にもほどがある状態で鑑賞しました。正直、原作ファン、乃木坂ファン向けな映画で私のような門外漢には大丈夫なんだろうかという不安いっぱいでした。

 いやしかし、この映画は予想通りなんですよ。アニメファン、原作ファン、そして何より乃木坂ファン向けに構築された映画であり、それ以上でもそれ以下でもない。…というと否定派なのかと言われると、そうではないんです。本作は、私のような門外漢な人も無理矢理にでも楽しませてしまうほどに主役3人が魅力的なんです。乃木坂の3人が演じる浅草、金森、水崎がそれぞれのキャラが立っており、特に浅草は吃ったり急に叫んだりともはや旧世代的とも言えるようなオタク感丸出し演技なのに、グリグリ表情が変化する彼女の表情を見ているだけで可愛く癒されてしまうし嫌味を感じない。特に上歯だけを見せる彼女の表情は小動物的な物凄い可愛さなんです。

 本作を鑑賞後に原作、アニメも見たんですが、原作は平面な漫画を立体的にするという革命的面白さに溢れており、アニメ版はそこから妄想パートをグリグリ動かすことで原作でわかりづらかった部分を補強し見やすくなり、そして実写劇場版である本作は実写とアニメーションを使い分けることが出来るので、この物語が持つポテンシャルを存分に発揮できているんです。どれも面白いし、どれも違う。これこそ理想の実写化だと思います。確かに無駄な部分がかなり多い作品だとは思いますが、それを差し引いても本作をアイドル実写映画と倦厭している人にこそ見て欲しいアイドル映画でした。

 

 

 

「劇場版ヴァイオレット・エヴァーガーデン

~執筆中~

 

9月現状ランキング

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6.ドラえもん のび太の新恐竜