「蜘蛛の巣を払う女」感想!!”女を舐めてたら殺人マシーンが来ちゃいましたモノ”ムービー!!

蜘蛛の巣を払う女」(2D字幕)
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大傑作だった前作という、高いハードルに挑んだ挑戦作!!!
女だからって舐めるような、底辺野郎たちをぶっ飛ばす、最強のダークヒーロー降臨!!!



本日のお品書き
・2作目「蜘蛛の巣を払う女
・悪を正す女
・ハードボイルドな”女像”
・ハッキングアクション
・とは言っても…
・最後に




前作が鬼才デヴィットフィンチャーによる、完璧に統一された大傑作だったんですよね。小さな島という閉鎖空間で、40年前に起きた事件。その断片的な記憶と物凄い情報量で展開される事件が、次第にエモーショナルになって、そして最後には”女を舐めた”奴という、今全世界的、そして日本でも減ることがない単純な”悪”が成敗されていく。そして最後には、身近な存在とまで感じていたミカエルまでもが、”女を舐めた奴”だったことを目の当たりにしてしまう…
最も気になったのは、服装。どの登場人物も服が真っ黒なんですよね。女も男も、内面に抱えるどす黒い部分を曝け出すかのような服装で統一されている中で、唯一明るい服を着ている人物がいる…。そんな、服装だけでもお話が面白く、濃厚に見えてしまうのは正しくフィンチャーっぽさだと思う。
総評としては、前作は”女を舐めた奴を成敗!”という観ていて気持ちいい部分と、完璧に統一された凄惨で妖艶な濃厚過ぎる部分が合わさった大傑作だった。




そんな前作から7年。ついに出た続編。。。
まずびっくりしたのが、圧倒的な方向転換。前作が推理サスペンスの先に何かを見出していたのに対して、今作ではケイパーアクションに。前作が2時間半という長尺だったのに対して、2時間以内に抑えてるところがそれを象徴している気がしますが、今作は前作とは対照的に、徹底的に軽さを追求している。軽く、気持ちよくなれるように作られているから、単純に面白い。
確かに、デヴィットフィンチャー作品でダニエル・クレイグが出ていた前作を、同じ路線で超えるのはかなり厳しいので、この方向転換はアリ。というか仕方ないかな…と思う。




悪を正す女
前作から成長し、リスベットは悪を正す、そして女を舐めてる奴を成敗する仕置き人になっている。冒頭の大企業のCEOを成敗するシーンは、どことなく「イコライザー」風味でかなり面白かった!
今作は特に、”舐めてた相手が殺人マシーンでしたもの”、というより”女を舐めてたら殺人マシーンが来ちゃいましたもの”になっていた。このジャンルって、サクっと楽しめるのがキモだし、そこに前作との共通点である、”女”という存在を主軸に置くのは、ちゃんと前作を踏まえつつ違うものを作り出していて上手いなぁと思わされました。

そんな悪を正す、女を守るリスベットが守れなかった存在こそが、妹であるカミラ。冒頭でリスベットは、妹は3年前に自殺したと語るんですけど中盤で死体は見つかっていないことが当時の新聞で明らかになったりと、おそらくリスベットはカミラが死んだとは思っていなかったんじゃないでしょうか。でも、それでもカミラはもう死んだ、と思うことで助けに行くことが出来なかった自分をなんとか抑えつけていたというか。しかし、カミラが生きていることが明らかになったことでその抑制が次第に崩れていき、最後、カミラの一言ですべてが崩れる。。。
その先に、リスベットはようやく過去と断絶し、真のダークヒーローになる。





ハードボイルドな”女像”
男なら誰でも、ロングコートでタバコを咥え、ひげ面…というようなハードボイルドな設定に憧れたことがあると思うんです。でも、こういう理想っていっつも”男”なんですよね。。。
そんな中で、リスベットはライダースーツにタバコ、パンクなピアスにドラゴンのタトゥー。そして小柄で短髪…そんなハードボイルドな設定を盛り込んでる。しかも、その設定はかっこいい男を真似たものではなく、女だからかっこいい、女だからハードボイルドに見えるような設定。リスベットは、ハードボイルドな”女像”を、やっと具現化して見せた存在にまでなっている・・・・!





ハッキングアクション
本作のもう1つの魅力はなんといってもアクション。前作よりもスピーディかつ万能になったハッキングと、それを組み合わせたアクションは爽快感が凄い!なんというか、「ミッションインポッシブル」っぽいし加えてゲームですが「ウォッチドッグス」っぽい。
そんな本作で、最もそれが光るのが空港でのシーン。NSAであるアロナを脱出させるために、キャリーバッグにスマホ(とディルドw)を詰めて放置し、それが忘れ物センターに持ち込まれるとそこからハッキングし、監視カメラを使い警備を誘導し、牢の扉を開いて看守を誘導し、アロナを脱出させると館内アナウンスを放送させてアロナを誘導する…。この一連の流れの手際が完璧過ぎだし、シームレスで気持ちいい!
こういうハッキングアクションもので続いていくのも、アリなのかなぁ…?





とは言っても…
と言いつつ、やっぱり前作のほうが好きなのも事実。いや、デヴィットフィンチャーだしダニエル・クレイグだし、と仕方ない部分が多すぎるんだけど、それでも続編って言われると期待してしまうよ…。
全く違う路線に方向転換したことで好みが分かれるけど、やっぱり個人的には前作のこじんまりした範囲で起こるエモーショナルな事件が面白かったから、今作で最初に「世界中のミサイルを制御できる」とか言い出したときにはびっくりした…。
全キャスト変更も、それだったら別シリーズってしたら良いのにと思うし、前作の設定があまりに踏まえられていないのも残念…。例えば、前作では適当なものしか食べていなかったリスベットが、今作ではちゃんとサンドウィッチを作るようになってる、とかさ!そういう意味では、記者であるミカエルがもう同じキャラに見えない。前作(劇中では3年前)に別れたのに再会するのも不自然だし、それなら前作のラストのその先を描いてほしかったし、こんなに関係ないなら別のキャラクターでも良かったんじゃないかと思うぐらい。



最後に
総評としては、個人的には圧倒的に前作が好きだけど、それでも今作ならではの魅力たっぷりで、ある意味前作を観ていなくても十分楽しめる、爽快な作品に仕上がってたと思う。
特にアクション好きな人なら、新感覚ハッキングアクションは本当に楽しめるので、是非映画館へ!!