「鋼の錬金術師」感想 ネタバレあり

12月に入り、映画業界はスターウォーズオリエント急行、邦画でも探偵はBARにいるなど続々と大作が公開される中、大人気漫画「鋼の錬金術師」実写映画も公開!ということで、
鋼の錬金術師(2D版)」を観てきました~
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まず前提として、私はハガレンの原作は全巻読んでいますが、記憶が曖昧という感じです・・・でも荒川弘さんの漫画は大好き!最近は百姓貴族を何度も読み返しています(*´ω`*)

そして次に、私が実写映画に「原作に忠実かどうか」を求めてはいないというのも先に言っておきたいと思います。以下の文ではこれらを前提に書いていますのでご了承を~


実写映画と聞くと色々ありますが、その中でもハガレンは最上級に難しい部類だと思うんです。ダークファンタジーな世界観に主人公を始めとしたキャラクターたちのイメージ。すべてが邦画とは真逆をいくこの映画をどうまとめるのか・・・正直怖いもの見たさで見に行ったのも事実・・・







鑑賞後の感想!
最初に、この映画の良い点を!決して良いところが全くない映画じゃあないんです!

まず大泉洋佐藤隆太など、原作のキャラクターの見た目ではなく、そのキャラクターが織りなすストーリーを演じられるキャストがハマっているキャスティングはかなり良い!!大泉洋サイコパス役をハメたり、佐藤隆太にフレンドリーな役をはめるのは本当に的確だったと思う!
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そしてアル。アルはCGで描かれているけど、ちゃんとそこにいる感じが出せてる!しかも、声をアニメ版から変更しているけどそれでも違和感がない!というか、アニメ版のままが良かったという人もいますが本当にアニメ版のままのアルの声だったら周りのキャストとのバランスが取れないし、映画全体を考えてもこの選択はOK!!
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あとウィンリィ役の本田翼はもう本田翼でしかない。本田翼可愛いから個人的には好印象になっちゃうけど…w

そして、原作はかなり長期的に連載していて到底2時間弱ではカバーしきれないものをテンポよくまとめていたのも好印象。

それに、音楽もCMでも流れるメインテーマはかなり好きな感じでした♪(「君のそばにいるよ」じゃないほうです)





ですが・・・・・・・好印象な部分以上に、残念な部分が多すぎるんですよこの映画・・・!!

注意:ここから長くなります・・・



まずキャストですよ!!上記のようなハマっているキャスト以外の俳優たちはかなりキツイ!
そりゃそうだよ!あの原作を忠実にやろうとしたロケーションや衣装なのに、出てる人は日本人なんだもん!最近の実写映画の「進撃の巨人」や「テラフォーマーズ」でもなんとか日本人という設定の辻褄を合わせようとはしていたのに、本作は一切その配慮がない。
だから見ていて、「まぁしょうがないよなぁ」という同情も湧かないし違和感が常に付きまとってしまっている。

主人公エドを演じた山田涼介は、良くも悪くもドラマ向きな俳優だと思うんです。ドラマならイケメンが出ると絵がカッコイイからチャンネルを変えずに見てもらえる。だけど映画になると、この効果は逆に働くんです。周りの俳優たちとの違和感が世界観をぶち壊すんですよ・・・いやしょうがないとは思うけども!エドを日本人キャストでするのは絶対に無理だし、これは制作側がちゃんと俳優にあった設定を突き詰めずにバカの一つ覚えみたいに原作に忠実にやった結果だと思う。正直、金髪設定はなしで良かったと思う。ウィンリィは茶髪にしたんだから、エドとアルも茶髪で良かったんじゃ・・・?

あと気になったのは、小日向文世アウトレイジなんかでもラストにどんでん返しを持ってくる悪役はやっていましたが、アウトレイジの「軽いのに小物とは見えない」演技とは対照的に「重そうに何か喚く小物」みたいな演技になっているんです。
ファンタジー色が強い映画に小日向さんは向いていないよ!!小日向さんが出るシーンは何もかもがこじんまりして見えてしまうんです。
他にも、ディーンフジオカ演じる大佐はもうちょっと若い俳優で良かったんじゃ?とか、エンヴィーのなんだこれ!!な感じなど語りだすとキリがないんですこのキャストの問題。本当に、ハガレンを実写で成功させようとする人たちが決めたキャストなんでしょうか・・・?

あと音楽。上記でメインテーマは好みといいましたが、それ以外がもうがっかり。ずっと流れるあの浮かれたBGMはなんなの?ダークファンタジーを描く気があるのか?
というかあのBGM、すっごいドラマっぽいんだよ!!
そしてラスト(色欲のほう)が出てくるシーンの、女の人の声っぽいBGM。あれダサいしラストが出るたびに流れるから吹き出しそうになったじゃないか!!これが笑いの用語でいう天丼か!?w




キャスト以外にも、あらゆるシーンが絶妙にしょぼい。冒頭の牧師(神父?)が賢者の石まがいを使ってエドの追跡から逃れようとする冒頭の掴みは、CMで何度も流れる石の柱(?)をエドにぶつけようとするシーンではエドは石の柱に顔面をぶつけるんですが「イテテテ」と鼻血を少し出すぐらいのケガで終わっていたり、何よりその後の槍を錬成するシーンがひっどい!!錬成した槍をパシっと持つから「偽物じゃない!錬金術してる!!」と思えるのに、カットを割って、カット後には槍をもう持っているですよ。それだとCGにしか見えないじゃんか!!せめて、似てる絵を繋げて造った槍をそのまま持ってるみたいに見せてよ!

そしてそこからのアクションシーン・・・ここも、じっくりアクションを見せずにものすっごいカットを割って、アップで撮ってるからドラマの安っぽいアクションシーンにしか見えない。これはこの映画全体のアクションシーンに言えますが、なんで1500円も払って安っぽいアクションシーン見せられないといけないんだよ!!
で、その戦闘の後、エドは破れた服を錬金術で戻す。・・・いや、これは戻しているんじゃなくて生地を伸ばしてるってことだよね?そのシーンの後にアルが説明した等価交換の法則を目で見せるシーンなのかと思ったら、服を直したことに関してはノーコメントなんです。いやいや、「あれは服を直してるように見えるけど、伸ばしてるだけなんですよ」みたいなセリフ1つ言わせようよ!じゃないと本当に魔法に見えちゃうよ!

錬金術といえば、この映画・・・錬金術を上手く使えてない!!
エド錬金術が石を壁などの形に変える、ぐらいなんですよ!冒頭の牧師のシーンで牧師が人質を取るんですが、このシーン、エドは巨大で変な像を錬金して驚いてる牧師をパーンチ!するんです。でもこれ、おかしくないですか?
錬金術の力でビックリさせられるのって、錬金術に馴染みがない人じゃない?この牧師は錬金術を増幅する石を持っているんだよね?そんな牧師が、錬金術にビックリするかなぁ・・・


ラストの戦闘も、もう全体が「ノペーーー」としてて全く面白くない。まずホムンクルスの”ショッカー感”がすごいし、特にグラトニーが兵士たちを襲うシーンは、もはやコントですよ。あれは追いかけるシーンはカットして場面が変わると兵士たちの悲鳴が聞こえるでいいじゃん!!
それに大佐が強いのは良いけど、ホークアイを庇うシーンがなぜか棒立ちだったり、急に炎の出方が変わったり、エドとアルの活躍が本当に一部だし、見てて面白くねぇよこんなこじんまりとしたラスト!!冒頭の街中でのチェイスのほうがまだスケールは広かったじゃねぇか!!

そして映画全体のセリフがいちいちダサい。もっとカッコよく、かつ設定を説明的じゃなく自然に表せないの?冒頭のシーンだけで何回”賢者の石”っていうんだよこの映画。

そして何より気になったのは、子役
冒頭10分ほどは子役2人の演技が続くんですが、この演技がひっどい。棒読みを超えて、感情を失っているとしか思えない。そしてその子役たちが錬金術を行ったことで竜巻(?)が発生しそこに巻き込まれるアル。普通、竜巻に巻き込まれたら何かにつかまろうと必死にもがくと思うんです。なのにこのシーン、子役はずっと竜巻に巻き込まれる前に座っていた床に正座しているんです。なんだこの絵!!ドラえもんのタイムマシンみたいでめっちゃくちゃダサい!!!

それに、ショウ・タッカーの娘ニーナ。あの役は愛らしいニーナがキメラになるから衝撃的で増悪的なのに、ニーナが本当に可愛くない。あんな棒読みで「エドオニイチャン、アソボー」と言ってた奴がキメラになったとたん「エドおにいちゃん、あそぼぉ」と言い出すところは、キメラ時のほうが演技力が高くてもう見てられなかったよ!!ニーナ、キメラの時のほうが生きたものに見えるんだけど・・・!!!


と、いろいろ言ってきましたが、これは見たからこそ言えるんです。観ていないのに文句を言うのは、本当に良くない!!それにこの映画、友人と色々話すとすっごい面白い系の映画なので、是非友人と一緒に映画館へ!
(この体験を俺だけするなんて耐えられない!)

あとエンドロールの演出、白黒で回想シーンを流しながらキャスト紹介するの、水曜どうでしょうにしか見えなかったのは私だけでしょうか・・・・・・・・・・