「アルキメデスの大戦」感想!!!日本国軍人だって、職業なんです。仕事なんです。

アルキメデスの大戦」

ãã¢ã«ã­ã¡ãã¹ã®å¤§æ¦ãã®ç»åæ¤ç´¢çµæ

 

 

男のロマン”戦艦”と戦略的に有効な”空母”。

この2つの建造案が生み出す、戦争…いや数学コメディ作品!!

何でも図ってしまう数学の天才が、最後に図ったものとは……

 

 

 

 

 

 

 

 

戦争シーン

本編が始まってすぐ驚くのが、本当に戦闘シーンが凄い。ああ、これが出来るならこの映画は期待できるぞ!と掴みとしてはばっちり。

航空機の運用、戦艦の尻込み感、そしてこの映画の結末をきっちりわざとらしくなく(一部わざとらしいとこもあったけど)見せてくれる。戦争映画や戦艦などに明るくない人でも、ちゃんと絵いっぱつで本作の題材を理解できる、上手いし面白いオープニングだったと思う。……てかこのクオリティの戦争映画を1回作ってみてよ!!

 

 

 

カルチャーギャプコメディ

そんな戦闘シーンは本作のメインではなくて、戦艦と空母のプレゼン大戦映画なんですよね。そこで、計算係として呼ばれたのが櫂直。漢字にすると凄い名前だけど、彼は軍人嫌いで数学の天才。そしてその櫂直のお世話係になるのが田中少尉。この2人のバディムービーが本作のメインなんだけど、そのバディムービーがめちゃくちゃ面白い。よくある戦争映画の規律正しく上官のいう事は絶対!軍規は絶対!という姿勢と、それを第三者視点で見る菅田将暉。このカルチャーギャップなコメディが面白い。

軍人をサラリーマン化したような、一種の仕事としての軍人描写は新鮮かつクレバーで、何とも人間臭く見えてくるし親近感が湧いてきて共感度も上がる。この映画のおかげで、今後の日本映画では日本国軍人=悲惨、暴力的 なんていう図式に縛られることなく、自由にキャラ付けをしていけるんじゃないでしょうか。

 

 

 

何でも図ることが大切だ

数学の天才かつ、変態の櫂直は何でも図る。意味のないようなものでも図る。でもそれがただのキャラ付けにならずに、その図る理由がしっかりあるから、変態だけどこの人は天才だと思わされる。芸者遊びを計算で必勝法を確立したのは笑いましたけど、そういう風に難しそうな数学描写も視覚でわかるように結論付けてくれるから、数学描写がちゃんと本作の面白さになってる。

 

 

プレゼンテーション

そこで編み出した数式を基に行われるプレゼン。強硬論で戦艦にしてしまおうとする戦艦派の記号的ともいえるダメダメ感と、それに抗おうとする空母派。裏で通じていることもあってドヤ顔な戦艦派を、まさに”ぎゃふん”と言わせる終盤のプレゼンシーンは、ベタだけど面白い。

「ここで計算してみろよw」「そんなわけない!」「もう1度だ!!」

この流れが綺麗過ぎてもう……w

 

 

 

男のロマン イミテーション

しかし話は思わぬ方向へ進み、ついには戦艦の建造が決定してしまう。そこで戦艦派の平山が語ったのは、日本とアメリカが戦争した場合について。空母は、勝つために建造しようとしていた。しかし戦艦は、負けるために作るんだ。戦争で被害を最小限にするために、象徴的巨大戦艦の大破という最悪の状況をつくるために、これを作る。

これって、同じ戦争と数学を題材にした「イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密」と凄く似たオチなんですよね。あの結末を、日本人がより馴染みやすく楽しめるように上手く調節して置き換えた感じというか。そしてその置き換えこそが、本作1番の魅力だと思うんです。本作は冒頭で、まさに戦争映画!というようなナレーションを付け、そこから戦艦というものの造形美を見せつける。正直、男のロマン、本能に従えば空母より戦艦なんです。でも、だからこそ頭脳では運用性の高い空母を作らないと!!と考える。そんな図式をちゃぶ台返しのようにひっくり返して、戦争に負けるために、男のロマンを利用する。

これは冒頭のシーンをしっかり丁寧に描いたからこそ、冒頭のシーンで戦争映画つくってよ!と思っていたからこそ、このちゃぶ台返しに驚かされる。まさか、冒頭で考えていたことこそがトリックだったなんて!!

数学の天才、櫂直は最後に”人の感情”を図ったということ。

 

 

 

最後に

ヒロインの必然性とか言いたいこともないわけじゃないけど、それでもここまで面白く、わかりやすく戦争映画を作り出したことは日本映画の転換点になるんじゃないかと思いました。重要である冒頭シーンを、しっかり体に染み込ませるためにも、是非映画館で観てください!!そして騙されよう!!