「ちはやふる 結び」感想!!!

ちはやふる 結び」
イメージ 1


上の句、下の句
本作は前作の視聴が必須な作品と聞いていたので急遽レンタルで遅れながら視聴してから本作を観に行きました!
特に上の句、その中でも机君の成長談が本当に大好きになりました!やっと自分の居場所を見つけたと思ったけど、その居場所でも邪険に扱われる(と感じる)辛さ…。そして「そんなことなら、かるたなんてやらなきゃよかった!!」というセリフ。その苦悩から、机君だけでなくチーム全体が成長する。上の句はこの流れが完璧で、そして今までの人生がまさにこれだった自分にとって、とんでもなく刺さったんですよね。
だからこそ、下の句は好きになれなかった…。何より、机君はじめ奏、肉まん君が薄すぎる。太一と千早、新の3人のエピソードに趣を置いたのはわかるけど、それでも3人をおざなりにしすぎと感じました。下の句では机君は「僕を捨て駒に使って」という。これは、チームでの自分の役割を理解したうえでのセリフ。けどこれって、本当は「いや、全員が勝てる組み合わせにしよう」というべきでしょ!!せっかく原田先生が「全国大会では5人全員が勝てるようにしないと」と言っていたんだから、ここでは全員が自分と同じぐらいの手腕の相手と組むことで、全員が勝ちを目指すということにつながるんじゃないの!?・・・あとさ、それで机君が2連勝ってどゆことよ!!!え?机君、もう全国大会レベルの相手校の1番強い相手にも勝っちゃうぐらい強くなったの?それって、相手校を描くことを放棄してるようにさえ感じてしまう…。
という風に、個人的には上の句は最高に楽しめたんですが、下の句は全くと言っていいほど刺さらなかったんです。唯一、松岡茉優演じるしのぶだけはびっくりするぐらい魅力あるキャラクターで、彼女が出ているシーンは大好きでしたが…。





結ぶ
そんな前2作を踏まえた本作。いやね、3部作の3作目って”普通”がないと思うんです。今までのシリーズの集大成として”最高”か”最低”か。そういう意味で本作は、”最高”の1本でした!!
個人的に大好きな机君を通して、結びでは戦力優先で3年生だけが出るんではなく1年生も出場させる。たとえ戦力にならないとしても、彼らにとっての糧となるはずだから。
恋にもかるたにも差をつけられ、その上勉強という重荷がのしかかる太一を救う”ドアノブ”という単語。いやぁ、まさかここで上の句のドアノブを出してくるとは思いませんでした!!下の句で机君が千早に、かるたを誘ってくれてありがとうとセリフで言わせてしまったのとは正反対に、太一が高校生活で掴んだもの、掴みそうなものを”ドアノブ”で見せる上手さ!
ギャグのセンスも、今回は抜群でした!上の句で目立った、過剰なギャグ演出(初めて千早と奏が出会ったときのあの過剰な演出など)は一切無くし、下の句で目立った「…え?」的なギャグは倍増していて、さらに新キャラ伊織が新に何度も告白するなどで天丼ギャグまで追加されていて、お腹いっぱいになりましたw
そして下の句では千早たちを食う勢いだったしのぶを本作ではコメディキャラクターに抑えたことで、ちゃんと瑞沢高校かるた部が目立つ作りになっていたのも良かった!
そして最後には、かるたを通して培ったものを千早は受け継ぐ。そうして、どんどん先輩から後輩へ、生徒から恩師へ結ばれていく…。

まさに瑞沢高校かるた部の青春の”集大成”といえる作品だった!!





太一
下の句では胃もたれ気味だった太一をはじめとする千早、新の3人のエピソード。これが本作では良い感じに収縮されたことで物語全体を壊さずに、絶妙なバランスになっていると感じました。
では本作のメインの話はなんなのか。それは”太一が空(くう)な存在から有(ゆう)な存在になる成長物語”。太一は金持ちでイケメンで頭も良いという一見完璧だけど、自分の汚い部分を何度も目の当たりにしたことでどんどん空(くう)が広がってしまっていた。
3年になりやるべきことが増える中、かるたに勉強、そして恋まで何もかも上手くいかなくなってくる。そこでまた、太一はかるたを辞めることで自分に新たな空(くう)を作ってしまう。空を作ることは簡単。だけど有を作るのは難しいし、何より有は気づくのも難しい。
太一はドアノブの話で、やっと千早と共に、瑞沢高校かるた部と共に築いてきた有(ゆう)に気づくんです。そして、それをつかみ取った感触を嚙み締めるように、新に勝ったときに固い握りこぶしを作った。
なんだよ…下の句を見てちょっと不安だった太一のエピソード、滅茶苦茶良くなってるじゃねぇか…

自分も、空ではなく有なものがある、かなぁ…と考え込んでしまいました。



音の使い方や演出など、映画館でしか味わえないものがある映画なので、是非映画館へ!!絶対、上の句下の句を見てから行こう!!