「15時17分、パリ行き」感想!!

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最近、実話物の映画が流行ってますよねぇ。去年だと「バーニングオーシャン」や「パトリオットデイ」、さらにはノーラン監督までもが実話物を撮っている。実話物って、ウソみたいな話に信ぴょう性を持たせ、ウソみたいであればあるほど「これが本当にあったのか!!!」と面白くなっていくというジャンルだし、2時間弱で話を終わらせやすいから作りやすく、観客は楽しみやすいのかもしれません。

そんな中、その実話物映画を撮り続けるクリントイーストウッド監督最新作が本作。これは観に行かない手はないでしょ!






実話物の革命
実話物って、事件や事故が発生するすぐ手前から始まり、最後にはそれが解決し少しの後日談が入る。というのが普通の流れだと思うんですが、本作は主人公たち3人の少年時代から、断片的に彼らの人生を描き最後に事件が起こるというとても変な構成。正直、途中「何を見せられてるんだこれは…」とも感じてしまうほど。
しかし、この構成こそ、本作の魅力なんですよね。少年時代、3人が校長室に呼ばれていなかったらこの奇跡は起こらなかったかもしれない。スペンサーがサバゲーが好きじゃなかったら、スペンサーが落第してなかったらこの奇跡は起きなかったかもしれない。散々否定されたパリ行きを断念していたらあの奇跡は起きなかったかもしれない。パリ行きの列車が1等車以外でもWiFiが通じたらあの奇跡は起こらなかったかもしれない。
というように、彼らの人生はパリ行きの列車内での事件というラストに向けての伏線として語られていく。これほどの偶然が重なるなんて、これは彼らにとっての必然だったのかもしれないとさえ感じるほど。本作は事件発生をラストの落ちにすることで、物語がそこに集約されていくという全く新しい快感を生んでいるんです。





本作のテーマ
この映画のテーマって、とってもシンプルなんですよね。”異常な事態に陥った時、行動できるのか”。恐怖で誰も行動できないかもしれない。でもこの映画を見た後だと”誰も行動しないことこそ異常”なんだと気づかされる。異常な事態で行動するのは勇気ある者じゃない。3人の普通の若者が行動したんだ。誰もが、行動を起こすことが出来るんだ、と。





本人を起用した英断
この映画、何が変って過剰なほど本人を起用したところ。3人はもちろん、乗客も本人たちを起用するという徹底ぶり。この決断って、一歩間違えると学生の文化祭のような映画として観ていられないものにもなりかねないと思うんです。でも、それを押し切ってでも本人を起用したことで生まれる”本物感”は、今までのどの実話物映画よりも凄い!
特に、ラストでフランス元大統領から勲章を貰うシーンは当時の映像と映画オリジナルの映像をくっつけているんですが、ここが物凄く”変”。当時の映像も映画の映像もどちらも本人だから、今まで観てきた彼らの人生、行動、何もかもが本当だと思わされる。映画という正直、実話物だとしても脚色や演出なんかでなんでも上乗せできてしまう”ウソ”のコンテンツが真の意味での”本当”なコンテンツになった瞬間だと思う。これは実話物映画の革命だと思うし、今後は本人起用の映画が増えそう…w




15時17分、パリ行き」、実話物好きな人は絶対に見たほうがいい傑作でした!!