MGSFN---第2章---「蛇の王」 後編
※このブログはMGS4の、その後をストーリー仕立てで考察するものです。第1章を上げているのでまだ見てない方はそちらからお願いします。
MGSのネタバレを含むので、ご了承ください。
MGSファンの方の意見や感想が聞きたいので、出来ればコメントお願いします!
雷電は部屋の奥へ進み、扉を見つけた。中は少し灯りが灯っている、かなり長い通路だ。兵士がいる気配はない。
通路の途中、不自然にも銃弾やレーションが落ちていた。レンとの戦いで消費した物資を補給し、雷電はP-90を再装填して先を急いだ。
通路の終わりには梯子が備え付けられていた。これもかなり長い。雷電は梯子を登る。
登り切ると、蓋のようなものが頭上に見えた。マンホールだ。雷電は蓋を押し上げると、また新たな建物が目の前に現れた。海が近いのか、微かに波の音がする。
雷電「ガデューカ、地下通路を通るとまた建物が出てきた。ここに何かある…こっちに来れそうか?」
ガデューカ「ああ、今すぐ向かう。こっちは外れようだな。先に行っててくれ。後から合流する。」
ガデューカとの無線を終えると、雷電はダクトから建物内に潜入した。
ダクトから出た部屋の前に、兵士がいた。中の兵士は、先ほどまでの兵士と変わりなかった。やはりここは、求心者達に関係があるんだろう。
雷電は兵士を無力化して先に進む。
しばらく進むと、またしても巨大な部屋が現れた。今度の部屋は中央が大きな吹き抜けになっていて、ロの字になっている。吹き抜けから上を見ると、空が見えた。
周囲を警戒しながら捜索していると、少し上の階から吹き抜けへ通路が伸びてきた。そして、その通路から誰かが歩いてくる。
「……なるほど、試験には合格したんだな。」
聞き覚えのある、図太い声…リンクスだ。
雷電「ガデューカ!奴を見つけた!」
ガデューカ「何?すぐに向かう。」
雷電「リンクス、よく見ろ!俺はこの距離なら1発でお前の眉間に風穴を開けれるぞ!お前の知ってる、求心者達の情報を吐け!!」
リンクスは笑いながら答えた。
「よく見るのは貴様の方だよ…。」
その兵士達は今までの兵士と違い、全員覆面をしている。
全く気配を感じなかったことに、雷電は動揺を隠せない。
「おい!そいつから銃をどけろ!!」
兵士達の後ろから声がした。
雷電「ガデューカ!」
驚きの余り、雷電は叫んだ。
しかし彼の登場で、雷電の動揺はリンクスへ移っていた。
リンクス「貴様、なぜ生きている!!この失敗作が!!……ガデューカ?なるほどな、お前もまた、蛇だったという訳か!!」
怒鳴り散らすリンクスに、ガデューカは詰め寄る。
ガデューカ「リンクス!!俺に何をした!記憶を奪ったのか?肉体を改造したのか?答えろ!」
リンクス「何も知らないのか貴様。良いだろう、答えてやろう。お前は、我々が作った『エイハブ』のクローン第21番目の被検体だ。だが貴様は、この計画で生まれた『エイハブ』達の初めてのイレギュラーだった。失敗作だったんだよ。」
ガデューカ「クローンだと…?それに失敗作…?何を言ってるんだ!」
リンクス「そもそもこの計画は、雷電。貴様の父のような、いや、貴様にMEMEを与えたソリッドスネーク……奴のような蛇を駆除するために始まった。」
雷電「俺の…父さんのような…?」
リンクス「我々求心者達は愛国者達の残党ではない…。我々はかつてシャラシャーシカと呼ばれた男、オセロットの意志を受け継いだ者達の集団なのだよ!オセロットはビッグボスを崇拝していた。雷電、知っているか?伝説の傭兵を。」
雷電「ビッグボス…世界で最も過激なテロリスト…」
リンクス「違う!ビッグボスは世界を統合しようとしたんだ!国境なんてない、理想郷を作りたかったのだ!」
雷電「理想郷?なぜお前にそんなことがわかる!」
リンクス「教えてやろう。
私は彼の身体記録、意思決定、作戦、友人、師匠…記録にある全ての情報を調べ上げた。ビッグボスはかつて、伝説の伝説の傭兵と言われた、最強の兵士だった。しかし彼はその後、『Militaires Sans Frontières』、『ダイヤモンドドッグス』、『アウターヘブン』、『ザンジバーランド』…世界から独立した、理想郷を作り上げた。そこで彼は世界を脅かす兵器”メタルギア”を作り出し、世界を敵に回した。
明らかにおかしいこの行動の裏に、彼の真意があると私は判断した。
そして私はわかったのだ。
ビッグボスは自らが、世界の全ての人々にとっての共通の『敵』となることで、思想も国境も人種も関係ない、1つに統合された世界を作り出そうとしていたんだと!
私は彼の意志を受け継ぐ。オセロットのように…」
リンクス「ならどう説明する!ビッグボスのこの行動を!答えられまい…。私は彼の意志を実現する!そのために行われた計画の1つが『エイハブ』計画だ。この計画は、ソリッドスネークやビッグボス…彼らのような蛇から我々を守るために始められた。
彼ら『蛇』は、シャゴホッド計画やピースウォーカー計画、さらにはシャドーモセス事件やビッグシェル占拠事件、そしてオセロットの計画…それら全ての挫いてきた。圧倒的な兵力を持ってしても、『蛇』の持つ潜入技術には遠く及ばなかったのだ。
我々は『蛇』を根絶するために、雷電、貴様の父を殺したのだ!『蛇』から受け継いだMEMEは我々の脅威となるからな!」
雷電「そんなバカげた計画のために父さんは…くそっ!
」雷電はリンクスに銃撃をする。
しかし怒りに任せた射撃は、手を震えさせ、リンクスには1発も当たらなかった。
リンクス「しかしいつ、伝説の傭兵のような『蛇』が現れるかわからない…。
我々はそれら『蛇』から身を守るため、『ソリダス』を見つけた。『蛇』から身を守るには、『蛇』を使うのが1番だったのだ。
我々は『ソリダス』をクローンとして培養した。そして、出来たクローンには、感情を抑制するナノマシンを打ち込む。そうすることで、彼らの反乱を防いだのだ。
これこそが『エイハブ』計画!!そしてSNAKE HOUND部隊だ!!ガデューカ、貴様の名前の意味は、ロシア語で毒蛇。貴様は作られた『蛇』なのだよ!!」
リンクスは両手を上げて叫んだ。
リンクス「だが、貴様は失敗作だった。
そもそもクローンの培養は、受精には普通の女性の卵細胞を使い、女性の胎内で育てる必要がある。そこで不都合が起こった。
リンクスが叫ぶと、リンクスの背後から覆面の兵士が数人歩いてきた。
その兵士達と、雷電を取り囲む兵士達は一斉に覆面を脱いだ。その顔は人種が違う者もいたが、それら全てがガデューカとかなり似た顔をしていた。
ガデューカ「雷電!」
ガデューカの声と同時に、雷電は近くにあった遮蔽物に身を隠す。ガデューカも同じく身を隠した。
ほぼ同時に銃撃が始まる。今までの兵士とは段違いの正確な射撃に、遮蔽物は崩壊寸前だった。
リンクス「最強の兵士は手に入った。後は最強の兵器、”メタルギア”だ!」
リンクスの声が響くと、赤い警告ランプが点灯し、建物を警告音が包んだ。
中央の吹き抜けの下から、リフトが上がってくる。何かを無理矢理押し上げているようで、金属の軋む音がする。
リフトは雷電達の階層で止まった。そこには跪いた、金属の塊があった。
メタルギアだ。
バジリスクはリンクスを乗せると、部屋を壊しながら立ち上がった。
顎にはバルカン砲と思われる巨大な銃器、背中にはミサイルポッドとレールガンのような武器を積んでいる。
さらに腕にも銃器が付いており、胸には赤く光った筒状の機械が収まっている。
直立した姿はまるで、ロボットアニメのロボットそのものだった。
博士「僕はこんなものに…憧れていたのか…」
博士は絶望した。
リンクス「邪魔だ!!」
バジリスクは腕を建物に向けると、腕の銃器からものすごい勢いの水を発射した。
それはまるでカッターのように建物を切り裂いていく。
崩壊寸前になった建物を、バジリスクは突き破る。するとそこには海があった。
海に飛び込もうと、大木のような足を折り曲げると、さらに建物は崩壊した。
ガデューカ「!!」
雷電「ガデューカ!!!」
見えなくなったガデューカを追うのを諦めた兵士達は、雷電に狙いを絞った。
兵士達の射撃が雷電を追い詰める。
崩壊寸前の場所での射撃とは思えない正確さだ。雷電は、身動きが取れなくなった。
するとその時、崩壊寸前の壁をぶち壊してバイクが現れた。
アレックス「待たせたな。乗れ!雷電!」
雷電がバイクに乗り込むと、バイクは急発進した。
アレックス「4ブロック先でガンナーと合流する。それまでは全速力で逃げるぞ!」
兵士達はジープに乗って追いかけてきた。
アレックスはできるだけ射線に入らないように、左へ右へとバイクを動かした。
アレックスの運転技術に、雷電は振り落とされそうになった。
しかし兵士達はそれでも正確に銃撃してくる。雷電を頬を、弾がかすめた。
アレックス「奴ら、どんな訓練受けてやがんだ!!」
雷電「遺伝子から違うんだよ!!」
アレックス「何!?」
バイクは細い道を使い、なんとか合流地点までたどり着けた。
ガンナー「おい!敵が多すぎるだろ!!」
ガンナーが叫びながら装甲車に乗って登場した。
アレックス「悪い! おい、ガンナー!後ろのハッチを開いてくれ!!」「あいよ!!」
アレックス「よし、雷電!飛べ!!」
アレックスの声で雷電は装甲車の中に転がり込んだ。すぐ後に、アレックスも飛び乗った。
すぐにハッチを閉める。
兵士達は、現状の装備では倒せないとわかったのか、引きあげていく。
雷電「助かった…」
アレックス「まさに奇跡だな…」