「X-MEN:ダーク・フェニックス」感想!!「X-MENのどこが好き?俺はここが好きなんだぜ!!!」な映画。

X-MEN:ダーク・フェニックス」(2D字幕)

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アメコミ映画の基礎を築いたX-MENシリーズ、ついに完結。

しかし実際には最も”X-MENらしい”、最終作というより集大成な映画だった!

 

 

 

本日のお品書き

 

 

 

 

 

X-MENシリーズ

X-MENシリーズ、私は世代的にも後追いなんですが、もう約20年前から続いているんですよね。そんなこのシリーズは、正直一概にMCUのような恵まれたシリーズとは言えないのも事実。面白い作品もあれば、なんとも言えない作品もあるし、もっといえばどの作品もどこか物足りない部分がある。

MCUと違って、初心者の人に説明するには一癖も二癖もあってかなり難しいし、私みたいな一応シリーズ観てるけどそこまで鮮明に覚えていない勢にはどの時間軸、世界線の話だったか混乱しちゃうのもまた事実。

 

会社自体もゴッチャゴチャになって、今後予定されてた制作もゴッチャゴチャになって、この映画の制作もゴッチャゴチャになってしまった本作。一応の最終作として位置づけられた本作を、どう感じたのか。

 

 

 

 

率直な感想

率直に言えば、面白かった!

言いたい事もたっぷりだけど、X-MENとしての面白さを追求した作りは新鮮だったし、欲をいえば、これならもっともっと作り続けられるんじゃない?とも思える作品でした。特に、X-MENとして私が思う3つの魅力を追求したのが、本作の魅力だと思います。

 

 

 

 

X-MENとして

X-MENシリーズが最初から築いてきたテーマこそ、差別と偏見。これまでは差別される側としての葛藤や苦悩を描いてきたけど、本作ではチャールズたちは人類に認められ、スーパーヒーローとしての地位を確立している世界線のお話。

X-MENとしてのテーマを乗り越えたかと思えたが、そこに待ち受けていたのはこの地位を維持しなくてはならないという苦悩。いつまた差別されるかわからない。街中でちょっとでも能力を使うだけでまた差別されるだろうし、もっと言えば自分達とは関係のないミュータントが暴れただけでも、差別は復活してしまうかもしれない。だからチャールズは作り笑いでパーティに出席して仲間には無茶をさせて、夜は酒に溺れる。本作は、X-MENシリーズ恒例のテーマの、その先を描いた作品でした。

 

2つ目の要素は、ミュータントたち。色んな世界線で、色んな立場になってきた彼ら。ミュータントと人類の共生を夢見るチャールズ。ミュータントの生存を夢見るエリック。そんな2人を軸に、X-MENシリーズは様々な敵味方入り乱れた関係性を築いてきた。ハンクは世界線で職業が違うし、スコットとジーンは運命が大きく違うし、レイヴンに関しては敵味方さえ異なる。こんな歪な関係がなぜ成り立つのか。それは、チャールズとエリックの関係が一貫して変わらないからだと思う。2人とも考え方に違いはあれど、どちらも「ミュータントを守りたい」という思いが行動原理。人類と共生しようとするチャールズも、人類を超越しようとするエリックも、どちらの”守りたい対象”にもお互いが入っている。だから、考え方は違うけどお互いに最も敬意を払っている関係。

MCUと違い、X-MENは敵味方がその時のキャラクターの考え方で変わる。だから常にお互いが魅力的に映るし、それは本作ではブラッシュアップされてて、ジーンという絶対チャールズ側だった存在が、まさかの共通敵になってしまうことで描かれる、(またまた)チャールズとエリックのすったもんだ。

 

3つ目の要素はアクション

もちろんアクション映画だからアクションが魅力なのは当然なんだけど、本作はこれまでのX-MENシリーズよりかなり洗練されていました。まず戦い方について。本作では”全員が同時に戦っている”んですよね。これまでは、正直数名は持て余していたり、もっと言えばチャールズは常に自宅待機だった。けど、本作では全員が常に何かアクションを起こし、それゆえに全員の戦闘に影響を及ぼし合う。さらにチャールズが加わることで、仲間と相手の思想を読みながら仲間を配置する、リアルなチェスのようなバトルになっているのも魅力。ちゃんと誰がどこにいるかもわかりやすく、お互いが影響しあうからどのキャラの戦闘シーンも目が離せない。

次に、この映画ではアクション中に”見得を切る”んですよね。例えば、最後の電車バトルでのエリックは敵を電車サンドウィッチにしてどや顔だったり、敵を倒して後ろ振り返らなかったり、ストームとの目線のやりとりでどや顔するし、ナイトクローラーも敵を倒して残忍な笑顔を見せるしと、アクション中に高ぶる感情を見せつけてくれる。これ、凄く大事だと思うんですよね。それこそ、日本的な、歌舞伎的な面白さという部分で日本人には堪らない演出だと思う。ここをサラっと流してしまうか、じっくり見得を切るかで日本人の僕達のアクションに対する評価は変わってくるとも思う。

 

 

チャールズとエリック

そんなX-MENとして面白い本作でも、やっぱり秀でて良いのはチャールズとエリックですよね。アクション面は上記したようにチャールズゆえの戦闘が面白かったし、エリックもこれまでのド派手戦法ではなく絶対殺す戦法なのも本当に面白かった。これが観たかったんだ!!

それにこの2人、時代的な理由で役者が代わっても、この2人が遭遇する場面はシリーズ通して面白い。それは、敵同士なんだけどお互い常に敬意を払っているから。最初から、ウルヴァリンを推し過ぎるんじゃなくてこの2人の関係性を推せば、もっとこのシリーズは大成したんじゃないかとも思えるほど、この2人の関係は他の映画では絶対にありえないし、それゆえに魅力的。

 

 

とはいえ

とはいえ、言いたい事がないわけじゃない。

まず、全員が気になったと思うのがクイックシルバー問題。序盤から活躍する彼は、X-MENには珍しいコメディ担当で人気も高いのに、本作ではサラっと退場して本当にラストまで出てこない。これにはびっくりした。これ、エリックとの関係について語りだすとキリがないからって理由らしい、というのを目にしたんですが、それならもっとわかりやすく退場させてほしかった。それこそレイヴンみたいに、明らかにすぐには戦線復帰できないような怪我をさせたりして、それをちゃんと見せてくれないと彼が急にいなくなったのがずっと違和感。あの時、彼以外もみんな傷ついて帰ってきたのに、彼だけがずっと顔すら映らないのは何かしら事情はあったんだと思うけど、それでも残念で仕方なかった。

 

2つ目は、感情問題。この映画、感情の整合性が全くと言っていいほど取れていないんですよね。特にエリックはわかりやすくて、復讐心に身を任せて人を殺すのは辞めた、と言い放った相手を復讐心で殺そうとするのはもっと葛藤させてほしかったし、細かい所ではハンクは街中で暴れることにもっと躊躇してほしかったし、ストームはもっとスコットの感情をくみ取ってアドバイスしてあげて欲しかった。

この映画で気持ち、感情が一切変わらないのってチャールズだけなんです。彼は常に”ミュータントの安全”を考えて行動し、ジーンに対しても”謝った”というよりは”言い方を変えた”感じ。彼は自分の行動について、ずっと悪気があったからこそここまで秘密にしておいたし、もっと言えばちゃんと言い方を考えてジーンに伝えていれば、こんな大騒動にならなかったんじゃ……とも思う。

さらにいえば、ラストのジーンの改心についてはもっと良い案があったんじゃないかとさえ思う。ここまで、チャールズを(表面的に)エゴイストに描いたなら、ラストは彼の反省ではなく、彼なりのミュータントへの慈愛、敬意を示すことでジーンが改心するほうが、X-MENシリーズとしても気持ちよく終われたんじゃないだろうか。

 

3つ目は敵の問題。本作の敵は、びっくりするぐらい魅力がない。アポカリプス以上に、魅力がない。それは、何が出来るかよくわからん…どころか何がしたいのか、誰なのかもイマイチピンとこない。お話の骨格を担うキャラとして完全に弱いし、ラストもわらわら襲って来られてもどういう力なのかよくわからないから面白味に欠けてしまっている。ジーンという存在を強調するための、敢えての薄味な敵だったのかもしれないけど、それならもっとジーンを悪役としてクローズアップしてほしかったと思うし…。

 

 

 

最後に

色々語ってきましたが、本作で20世紀FOXX-MENは完結。

完結編っぽくはなかったけど、集大成という感じは十分出ていた作品だとは思いました。スケール面ではどうしても薄味に感じてしまいますが、X-MENというシリーズの魅力を存分に増幅させた本作を、最後に満足のいくX-MENを観られたことは本当に良かった。

MCUX-MENが楽しみかどうかはおいておいて、これまでX-MENを観たファンなら絶対に、映画館で観納めてください!!