1番憎いのはヒューイなんかじゃない・・・

注意※
この先、MGSⅤのネタバレ、さらに批評が書かれています。
それらが苦手な方は見ないでください。自分の意見が伝わりやすいよう、あえて批評をしてますが、私はMGSシリーズが大好きであることに変わりはありません。











Twitterなどでは「ヒューイめ!!なんてやつだ!!」というようなツイートをしたりしている方が多く見られます。確かにストーリー的に言うと、彼は自分を守るためにのみ行動をし、しかもそれを自覚していないという決して褒められない性格でした。
ストーリー的には、私も皆さんと同じようにヒューイには腹が立ちます。そういう感情になるようなキャラ設定になっているので当然です。

しかし、私が1番憎いと思っているのはMGSシリーズ全体を見たとき、個人的にヒューイ以上に憎い人物がいるのです。
いえ、むしろヒューイはMGSⅤで数少ない、人間らしい性格をしていて、ストーリーを盛り上げてくれる人物だったので、私はMGSシリーズで見たとき、彼はすごくMGSらしいキャラだなと思いました。

「ヒューイがMGSらしい?スネークとかはどうなんだ!!」と思う方もいると思います。MGSⅤではスネーク、すなわちエイハブはプレイヤー自身でした。これは監督曰く「ビッグボスをユーザーへ返す」という考えのもとに作られた設定のようですが、MGSファンにとってビッグボスはすでに伝説的な存在。MGSファンなら誰もが心から尊敬しています。が、その尊敬は決して「ビッグボスになりたい」という感情ではないと思うのです。
しかもこの設定のせいで、エイハブはエイハブ自身の思想をほとんど持たないキャラクターになってしまいました。基本的にオセロットの言うことを聞くだけの人物なってしまったのです。
しかも「MGSシリーズで悪役とされてきたビッグボスは実は別人でした」という、ものすごくがっかりする設定でした・・・
そしてオセロットも、MGSⅤでは本当にMGSらしくないキャラクターでした。
オセロットといえば、MGSシリーズを幾度となくどんでん返しに導いてきたMGSの象徴ともいえるキャラクターです。彼の行動は誰にも読めず、そしてビッグボスを心から尊敬しています。
ですがMGSⅤのオセロットは、エイハブを裏切るわけでもなく、ゼロを出し抜こうと何か行動をするでもなく、ずっとマザーベースから無線をするだけのキャラクターになってしまいました。

カズヒラに関しては、本編中に出てくるカセットテープで「カズヒラ・ミラーのハンバーガー」という話があります。PWのころのようなお茶目なカズが聴けるこのテープはすごく話題になってました。ですが、MGSⅤではPWは「戻れるなら戻りたい、楽しかった思い出」なのです。パスがPWを懐かしむ姿は「あの頃に戻れたら・・・」と心から思わされました。
MGSⅤでは復讐心によってカズは変わってしまい、PWのころには戻れない・・・とユーザーに思わせといて、突然PWのころのようなお茶目っぷりを見せられても、嬉しいというよりは白けてしまいます。

長々と話してきましたが、私がMGSシリーズ全体を見たとき、1番腹が立ったのは第三の子供の存在でした。
PVで「燃える男」や「白鯨」など、様々な超常現象がスネークを襲うシーンはワクワクさせられました。それは「なんでこんな非現実的なやつがいるんだ!その謎を知りたい!」というワクワクでした。
MGSシリーズでもそのような超常現象はよく起こりました。そのほとんどはナノマシンかAIネットワークです。
ナノマシンもAIネットワークも、現代社会で問題になっている技術の延長線上だからこそ、ユーザーは納得できたのです。それだけではなく、膨大な無線や裏設定があるおかげで、非現実的なナノマシンやAIが現実味を帯びていました。
ですが、MGSⅤは、第三の子供の超能力という、ものすごく非現実的なことで超常現象の理由を解決しました。
明らかなご都合主義な設定で、本編で謎が明かされるときも「あ、また第三の子供なんか・・・」とがっかりしました・・・
ただでさえ現実味の無い超能力を、登場人物全員が「多分こうなんだろう」というふわっとした解釈で解決されても、現実味が増すわけがありません。



MGSシリーズは、登場人物1人1人が様々な思想による行動をするのが面白いと思うのです。
しかしMGSⅤでは個人の思想を持つ人物が少なすぎる・・・復讐の目標であったスカルフェイスは、なんとボス戦を1度もすることなくやられてしまいました・・・
MGSの1番の魅力はステルスアクションよりも、魅力的なストーリーだと思います。他のゲームならおまけ程度のムービーが、MGSではとても長く、それはユーザーからするとイライラする要素の1つですが、MGSではそれが魅力なのです。MGSⅤではそんなムービーでさえもかなり削がれていました。



未完成かどうかは関係なく、私はMGSⅤのMGSらしさの欠如に、がっかりさせられました。