「クリード 炎の宿敵」感想!!!3つの視点で語られる勝利!!

クリード 炎の宿敵」(2D字幕)
イメージ 1


男の教科書ロッキーシリーズを継承する、クリードシリーズ第2作目!!!

本日のお品書き
・ロッキーシリーズの魅力
・前作「クリード チャンプを継ぐ男」の魅力
・ドラゴ親子
・最後に



ロッキーシリーズの魅力
ロッキーシリーズの魅力って数多あるけど、最も魅力的な要素は”勝負”に勝つことだと思うんです。”試合”に勝つことじゃないんです。このシリーズって、試合の勝敗はそれぞれだけど一貫して勝負には勝つんです。もうお約束なんです。でも、それが良いんですよ。それが、最高なんです!!!!!
そして、もう1つの魅力は、ロッキーの成長です。シリーズ定番の魅力ではあると思うんですけど、このシリーズの主人公の成長は魅力的、というよりもうロッキーに感情移入し過ぎて、見てるこっちはエイドリアンとかポーリーの視点にさえなるんですよね。何のために戦うのか、何を背負って戦うのか。そして持たざる者から持つ者へ、そして持つ者から失う者へ、失う者から取り戻せる者へ……彼の半生、生き様こそがこのシリーズの魅力なんです。そういう気持ちで観ていると、「ロッキー ザ・ファイナル」は絶頂点なんです。だから、正直クリードの1作目を観る前はもうやらなくて良いんじゃ…?とも思っていたりしたんですよね…。




前作「クリード チャンプを継ぐ男」の魅力
そんな気持ちにさえなるほどにロッキーという男に惚れていた私ですが、もうね、この前作が最高だった…。
展開としては、ロッキー1作目と似ているんですよ。でも、そこにはロッキーという男が生きてきた生き様が、少しずつアドニスという男に継承されていくのが目に見えてわかるんです。ああ、これはシリーズを踏まえた、”ロッキーの1作目”なんだ…と。
また、ここも凄いのが、こんなにロッキーシリーズを踏まえた映画なのに主人公はちゃんとアドニスなんです。ロッキーやアポロに負けないのではなく、彼らとはまた違った生き方を、彼らの意思を受け継ぐことで選択する。新しいシリーズの主人公として、ちゃんとやっていけるよ!と思わせてくれたんです、アドニスは。ロッキーの続編ではなく、アドニス、いやクリードという男のお話のはじまりとして大傑作だったんです!!!!




前作で、アポロのためではなく自分のために戦うことを学んだアドニス。そんなアドニスが、自分のために無鉄砲にも挑んだヴィクターとの試合。試合には勝ったが勝負に負けたとはまさにこのことで、アドニスは大きく傷つく。彼もまた、過去のロッキーと同じく持たざる者から持つ者になったのに、アドニスにはそれを背負う意思が足りなかったんですよね。いやぁ、でもあの若さでチャンプの重圧、親父の重圧、家族の重圧が同時に襲い掛かって、さらにそれが一瞬にして弾けてしまったんですよ、アドニスは。そんなどん底アドニスを、ロッキーは厳しくも、優しくも再起させようとしてくれるんですよね。それはまるでアポロ、そしてミッキーがそうしてくれたように。
これまでのロッキーシリーズ、そして前作にもあまりなかった、主人公が若すぎるがゆえの悩みがちゃんとこのシリーズのロジックを壊すことなくぴったり合致している。ロッキーシリーズでは年齢との闘いでもあったけど、アドニスは逆にまだまだ人生経験を積んでいる真っ只中。若さゆえにがむしゃらに悩んで、落ち込んで、ふさぎ込んでしまうこともあるけど、でも、若さゆえにそれこそ地団太を踏んでまで再び立ち上がることが出来る。それが、ロッキーにもアポロにもなかった、彼自身の魅力。そして、それこそが彼自身を応援したくなるんですよね。そんな彼の底力を見たからこそ、やっとロッキーは「これからはお前の時代だ。」と告げることが出来た。ロッキーがアポロに言われたように。





ドラゴ親子
まるでマシーンのように”造られた”ドラゴ。ロッキーという英雄が誕生した裏には、ドラゴという陰が誕生していた。彼は30年、屈辱と劣等感を味わい生きていた。シリーズを見ていて1度も考えたことが無かった、けどそんな視点を一気に感じさせる冒頭。そこから、怒りと復讐だけを誓い、遂に時が来る。このドラゴ親子の視点から見ると、あの有名なトレーニングの場所も、そこに賑わう観光客も、そして今のロッキーの店も、そしてロッキー自身が俺との戦いを己の歴史にも並べていないこと、もうロッキーが憎くて仕方がないんですよね。シリーズで初めて、ロッキーを敵役として観るこの視点、本当に良かった…。
もちろん、今までのシリーズを踏まえて観客はクリードを、ロッキーを応援したいけど、それと同等にドラゴ親子のことも応援したくなる。今までのシリーズって、ロッキーまたはクリードと対峙する相手は誰であれ、乗り越えるべきものなんですよ。でも、今作でクリードの前に立ちふさがるヴィクターとの最終対決は、そんな一方的な感情をも凌駕した、神聖な魂の削り合いにまで達する。どちらを応援するとかそういうのではない、もはや2人以外には、ロッキーも、ドラゴも、アポロも、だれも存在することが出来ない領域で戦うんです。その中で、2人がそれぞれ何を背負って戦うのか。何故背負うのか。これが試合の展開と並行して語られ、変化していく。ここまで最後の試合が臨界に達したのは、これまでのシリーズにも無かった最高の展開だと思う。
そして、それを経たドラゴが、タオルを投げる。もう、ここまでで泣いていたのにまた号泣だよ…。ああ、もうなんてこった…。ドラゴはやっと、”試合に負けても良いんだ、勝負に負けさえしなければ。”ということを息子と共に学んだ。その時点で、彼は、いや彼らはこれまでの屈辱に勝ったんです…。






もう、ロッキーの疲弊しきった姿だけで泣けてくるんですよ。エイドリアンとポーリーの墓のまえで話をしたり、ゴムボールを常に持っていたり、アドニスに素直になれなかったり、息子から逃げてしまったり…。そんな彼が、自分を繋ぎとめるために再びボクシングに飛び込む。その姿はまるでミッキーのようなんですよね。「ロッキー」1作目でアポロに選抜されたロッキーの家に来た、あの時のミッキーは、どういう気持ちだったのか。それを、ロッキーは遂に身をもって知った。あの時は、よくも来れたな!!と当たり散らしたけど、今ならわかるし、今すべきことも、ミッキーは教えてくれてたんですよね。
そしてアドニスと共に勝利を勝ち取り、遂に彼はリングに備え付けられた三段の階段を降りる。そして、ロッキーは自分との勝負に勝つために、息子に会いに行く…。やっと、やっとロッキーは、愛する者の死やボクシングではないもので自分を繋ぎとめることが出来るようになったんですよ…。ああ、良かった…。
これこそが、彼の最後のハッピーエンド。







最後に
レーニングのシーンの超展開とか、やっぱりエイドリアンみたいな地味目の彼女がいいなぁとかほんのちょっと言いたいこともあるけど、それを凌駕した大傑作だった!!!!
是非映画館で、体験してほしい!!!