「天気の子」感想!!!晴れ、曇り、雨。天気は人の気持ちを変えてしまう。 そしてこの表現は アニメだからこそ、出来る。

「天気の子」

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晴れ。雨。雪。曇り。

天気には、人の心を変えてしまう無限の力がある。そんな力を前に、愛に何が出来るのか。

アニメにしか描写出来ない天気の感覚が紡ぐ、”若く突き抜けた”作品。

 

 

 

 

 

 

 

天気

本作のテーマは”天気”。これまで、”天気”をテーマとした映画ってあまり聞いたことがないんですよね。感情の変化なんかに天候を用いることは結構ありますが、天気が話の軸になるのは珍しく感じたり。でもそれは必然で、天気を綺麗に、意味を持たせて写すのってかなり難しいと思うんです。晴れも雨も、実際に見ているのとは明らかに劣って映ってしまうし、何より操作できないから難しい。

 

けど、アニメなら出来る。正直、個人的にはアニメ映画って苦手なんです。なぜなら、アニメの持つパワーを感じたことが人生でかなり少ないから。アニメでする必要ある?と思ってしまう。しかし本作は、明らかに”アニメでしかできない”に挑戦している。そういう点では、前作の「君の名は。」以上にアニメ的快感に溢れているのかもしれないとさえ思う程。

 

 

 

 

水面のように

ではそんな天気描写はどうだったのか。先に結論を言っちゃえば、本当に良い!!

夜景や、雨の曇天のような暗い描写は過剰に、アニメっぽくさえないほどリアルに描き、青天は本当に、嘘みたいに綺麗な光描写が映える。でもこの描写って一見するとリアルで綺麗なんだけど、よくよく考えるとこんな光景は普段観る事は出来ない、”ウソ”の綺麗さなんですよね。

ネオンが強調された夜景、雨の反射光が協調された曇天、太陽の眩い光が強調された青天。光が協調された描写の数々は、まるで水面という写し鏡で見た空のような、嘘みたいな本当のような景色。

過剰に協調された空の描写によって、観客は空に感覚的なものを覚えてくる。水面を見つめるような、静かにハッとさせられるような、綺麗で儚い景色の感覚。そんな、言葉には表せない”空の感覚”をこの映画では描いている。

 

 

 

童貞にとっての”銃”と”恋”

本作の主人公、帆高は冒頭で銃を拾う。その後、天気を100%晴れに出来る晴れ女の陽菜に恋する…。

 

この映画は、童貞による童貞のための映画。

 

恋をしたら、どんなことを犠牲にしてでもそれを貫きたい。好きという気持ちには、無限の力がある。そう信じてがむしゃらに行動する帆高。

そして要らないとも思える銃の要素は、ピンチになった時の切り札として使われる。感情が高ぶり、震えながら”発射”する。”発射”してしまえば、何かが変わってしまう、その責任と対価について冒頭で知った帆高が、ラストに再び”発射”する。

童貞にとって、恋をしたことがなかった俺達にとって、恋は、発射は、とんでもない力を持っていた。この映画は、語り方によってはド下ネタになってしまうような要素を、これでもかと添加物を加えることでこんなにも美しくパワフルに見せてしまう。だから観客、特に中高生というこの渦中にいる彼らは素直にこの映画の力に共感できる。

 

 

 

 

がむしゃら!

パワフルな本作が最もパワフルになるのは、やはり終盤。予告でも流れいた「グランドエスケープ」という曲に乗せて、帆高は他人や利害を超えて、愛を目指して一直線に駆け抜ける。何もかも関係ない、やっちゃえ!!!!そんながむしゃらな、パワーに満ちた展開になっていく。愛を知らなかった僕達が、そんな僕達だったからこそ、応援する。

上記した「グランドエスケープ」という曲の、手拍子を加えたノリの良い曲も相まって、このシーンは”若く突き抜けた”シーンになっているし、それこそ本作の面白さだと思う。若い。

 

 

 

言いたい事も

まぁ、言いたい事があったりも。ラストの賛否両論な結末に関しては賛なんだけど、その結果3年も雨がやんでないのに、未だにみんな傘をさしてるのがもったいないなぁと思うんです。3年も降ってたら、傘なんて片腕を使っちゃうし、守備範囲も狭い道具を使ってるかなぁ。もっと便利なもの出てくるんじゃないかなぁ。ラストに賛同したからこそ、エピローグのリアリティラインの後退にはがっかりしたり。

あと、やっぱり広告、企業ロゴが多すぎる。日本を代表するアニメコンテンツになったのはわかるんだけど、ここまでわざとらしく写されるとなんだかこれもリアリティラインを下げている気がして。と思えば、例えば劇中では「驚安の殿堂 ドン・キホーテ」が出てくるんですけどたまに「驚安の殿堂 ラン・キホール(?)」になっていたりするんです。この、ロゴのごちゃごちゃっぷりがなんだかノイズに感じたんですよね…。

 

 

 

最後に

新海誠作品って、実はほとんど見たことが無かったので、この機会に見てみようかなぁと思うぐらい「君の名は。」よりも好きな、アニメの力を見せつけられた映画作品でした。アニメをあまり観ない私が、アニメの描写に感動するのはそれこそ、京都アニメーションが作り出す”触れるような”アニメ描写以来でした。アニメを愛する全ての人に広まって欲しい、そんな作品。

是非、映画館でこの感覚を味わってください!

 

新海誠作品、見てみようかなぁ……

 

 

 

 

 

 

花澤香菜佐倉綾音が実名(?)で登場してるけど、そんな両名にモテる凪が羨ましすぎるぜセンパイ!!

 

 

 

 

 

 

未来有望な、かけがえのない京都アニメーションの被害者の方々のご冥福を、心よりお祈りします。アニメの持つ力を、ありがとうございました。