「アマンダと僕」感想!!!人の人生を背負う勇気は、いつ湧いてくるんだろう。

「アマンダと僕」

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誰かの人生を背負う勇気を、まだ見いだせていない僕達のための映画。

 

 

 

本日のお品書き

 

 

 

 

 

 

乾いた雰囲気

この映画は、常に乾いた空気が漂っているように感じました。ヨーロッパの街並みや気候は風や匂いまで感じ取れるように鮮やかに、そして繊細に描くことで、日本のようなジメっとした暑さではない、ヨーロッパのカラっとした暑さが描かれているというか。こう、言葉に出来ないような映像が、時の流れのようにゆっくり流れてくる。この映画は、物語的な盛り上がりをほとんど廃して、日常を淡々と、でも着実に描くことに終始していたし、それによって、何かを失ったことを乗り越える2人を描き切っていたと思う。行った事もないのに、その国の雰囲気や匂いに涙してしまう映画でした。

 

 

 

アマンダ

この映画、1番の好演はやはりアマンダちゃん。この子の素晴らしい所は、共感を誘う部分だと思うんです。子役って、オーバーな、大人の求める子供像で描かれることが多い。しかし、このアマンダちゃんはそんな子供像とは相反した、自分の演技力で等身大の7歳児を作り出していました。母親が亡くなったと聞かされたとき、大泣きするわけでもなく、でもあっさり認めるわけでもない。7歳なら、もう会えないことはわかると思うんです。けど、それを脳で理解することをせき止めてしまっている。そんな、7歳なりの思いを、少しの言葉と表情で見せつけてくる。大人の思う子供像ではなく、大人が思い出す子供像になっている。

その後、アマンダちゃんは急に泣き出したり、感情が高ぶったりする。話の流れとしては、「なんでここで!?」というタイミングなのに、アマンダちゃんの涙は強制的ともいえる共感を強いられる。何か思い出すような物があったからとか、そういうんじゃなくて、突然、お母さんを思い出して、その思いが大きくなって泣いてしまう。わがままを言う時も、”なぜわがままを言い出したのか”の理屈ではない、アマンダちゃんだから、7歳の女の子だからこその感情の変化に、共感したくなってしまう。この映画においてアマンダちゃんは、”共感したくなる”存在になっていく。

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そんなアマンダちゃんを育てることになるダヴィッド。24歳ということもあって、やはり私は彼にとんでもなく共感してしまったんですよね。自分が、突然7歳の女の子を育てるようになったら、仕事は?お金は?お世話は?……。そんな悩みに押しつぶされそうになるダヴィッド。正解がそこにあるんだけど、それを選ぶ勇気がない。そんな彼は、アマンダちゃんと生活することで少しずつ、なぜ子供を育てるのか、なぜ子供を持ちたいのか、を理解していく。アマンダちゃんが泣き出すとこっちも泣きそうになるし、笑うとこっちも本当に幸せな気持ちになる。不安なことはたくさんあるけど、アマンダちゃんという存在がゆえに、彼女に共感したくなっていく。毎日の日常に、無くてはならない存在になっていく。人の人生を背負う勇気は、そういうところから湧いてくるのかもしれない。そう、感じさせてくれました。

 

 

最後に

本作は、確かに人を選ぶ作品だとは思います。しかし鑑賞後、10分…20分…1時間…1日……と時間が経過していく毎に、じんわりと心に響きだす映画でした。

是非、映画館で鑑賞して、じんわりと感情の流れを味わってください。